知ってて知らない「仙台味噌」

雑誌「仙台っこ」タイアップ仙台再発見シリーズNO.4(8・9月号)
=市内書店で1日発売

「知ってて知らない仙台味噌の話」。味噌は日本中どこにいっても"手前味噌"があるものですが・・・。
(MAK)


日本中どこにも土地の “手前ミソ ”がある中で、ブランドを確立している仙台味噌。
身近なために考えたこともないこの伝統食品について、改めて学んでみましょう。

ビックリ!熊本の味噌天神

先日熊本市に行く機会がありました。中心街の電停に「味噌天神前駅」という妙な名前の駅があります。
日本で唯一、味噌を祀った神様 “味噌天神 ”がそこにあるのだそうです。建立は千三百年ほど前で、大量に腐ってしまった味噌を美味しい味に変えた霊験あらたかな神様と聞きましたが、天神様といえば学問の神様とばかり思っていたので、これには少々驚きました。
熊本から鹿児島に抜ける途中の人吉でも、代表的な地元の老舗として案内されたのが味噌醤油醸造のお店でした。
味噌づくりがどの地方でも昔から大切に扱われてきたことが、これでよくわかりました。


熊本市の中心街にある創建1300年の味噌天神。
(asahi,comマイタウン熊本より転載)

「佐々重」さんを訪ねました

仙台味噌の年間生産量は約八千トン。全国総生産の2%を占め、うち半分以上は宮城県外の各地で消費されているブランド商品です。
戦後、信州の白味噌にやや押され量的には大分差がついているそうですが、中元、歳暮の贈答期には欠かせない商品としての地位をいまもしっかり保っています。
その人気の秘密を、百五十五年にわたって仙台の中心街にお店を張る仙台味噌老舗「佐々重」の佐々木淳一郎社長さんに聞いてみました。
仙台味噌は一言でいえば「旨味、甘味、塩味、香りの四つの要素のバランスが完璧な調味料。」と、佐々木さんはいいます。
だから誰でもその日から味噌汁に使ってなんの違和感もなくおいしく食べられるし、どの地方の食卓にもすぐとけ込める。いわば味噌の世界のスタンダード商品なんだそうです。
一方、癖の強い味噌の代表銘柄は例えば名古屋の八丁味噌ですが、重くて渋みのある味は地元の人以外にはなかなか馴染みにくいので、何とか口当たりの良いものにしようという工夫が “みそ煮込みうどん ”や “みそカツ ”といった名物の味噌料理誕生の背景になってきたようです。


「仙台味噌」の贈答用パッケージ

戦略物資と考えていた政宗公

仙台味噌が知名度を上げたのは豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき伊達藩の味噌が一番長持ちしたためだとよくいわれますが、当時はまだ政宗の居城が岩出山にあったこともあり、後年「江戸藩邸に常勤する三千人の士卒に給するため大井の下屋敷に味噌蔵がつくられ、余分を江戸の庶民に払い下げた」(宮城県味噌醤油工業協同組合HP)のが江戸っ子たちの人気を得たとする説もかなり有力です。
いずれにせよ藩祖政宗公自身が味噌を非常に大切な戦略物資と考えていたことは事実のようで、「青葉城内に御塩噌蔵((ごえんそぐら)と呼ばれる日本で最初の味噌工場を建設した」(仙台味噌醤油㈱HP)といわれています。


伊達政宗公坐像(ウイキペディアより転載)

なぜ八種類もの味噌があるの

年間販売量の六割は地方発送という佐々重さんのインターネットホームページ(HP)を覗いてみました。
通信販売コーナーには八種類の銘柄がパッケージ写真や価格を添えて表示されています。
 「なぜ八種類もあるんですか?」
 「実は二十種ぐらいはあるのですがー。」と佐々木社長。
同じ製法でも原材料や塩加減、酵母、熟成の方法・・。多様な年代の多様な嗜好をもつ方々により喜ばれる仙台味噌をと追求し続けているうちに数がどんどん増えてきてしまってと、若い社長さんは頭を掻いていました。

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創業155年の老舗「佐々重」の佐々木淳一郎九代目社長さん

一番人気は「本場仙台味噌」

ちなみに八種の銘柄の特徴は、仙台藩時代のものにもっとも近いのが最辛口の「御塩噌蔵仕込み味噌」で、売れ筋一番の「本場仙台味噌」がこの辛味を少しだけ抑えた伝統商品。
次いでやや淡白な味に仕上げた「特吟味噌」と宮内庁納め用に特醸した「御用味噌」が辛口派。
減塩志向に寄せてやや甘めにしているのが、原料米の特性を生かした「ささにしき味噌」、「玄米こうじ味噌」と塩分9%の「みかく味噌」。
さらに期間限定で販売している「淳朴味噌」は、原材料の米、大豆などすべて指定農家に作ってもらっている社長思い入れの力作商品だそうです。

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八種類の銘柄を取り揃えた「佐々重」さんの味噌売り場


ホヤの味噌汁は絶品です

佐々重さんのホームページには味噌料理のヒントとしてたくさんのアイデアが紹介されていますが、さてどうでしょうか。みなさんのご家庭では「味噌汁」以外にどんなお料理に仙台味噌をお使いになっているでしょうか。
野菜や魚、肉類の味噌漬けといっても最近は冷蔵庫の普及もあってさほど利用されなくなっているし、子供たちの様子を見ると “味噌離れ ”の傾向もなくはありませんね。
そこで最後に、これぞドンピシャリの仙台名物料理として佐々木社長推奨のアイデアをご紹介しましょう。
三陸の海の名品 “ホヤ “と仙台味噌の組み合わせです。鰹だしでジャガイモ、キュウリ、豆腐、大葉を順に煮込み、最後に仙台味噌と刻んだホヤをいれて仕上げる。
ホヤと味噌のコラボが絶妙な味を演出するというこの一品を、ぜひお宅でも一度お試しになってみてください。 


仙台味噌「佐々重」ホームペイジ

2009年07月30日 15:07 | パーマリンク |TOPページへ   ▲上へ

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コメント (7)

呉山人:

仙台味噌が完全調味料というのはいいが、世界に普及させるには”香り”の研究が大切ではないかな。
戦後のオリンピックで日本選手団のために米、味噌持参で炊き出しをしたところ味噌汁の臭いが近隣に大不評を買ったことがあった。
外国人に受け入れられる範囲の”香り”に抑えられれば、優れた調味料としての用途はもっと広がっていくように思う。

Posted by: 呉山人 | 2009年08月02日 13:09

栄治:

熊本の味噌なんて聞いたこともないのに、街中に味噌を祀る神社があるのは不思議ですね。
大体腐った味噌を元に戻したなんていう伝説はマユツバものだし、それが天神様というのも変です。
九州で天神様といえばそれこそ菅原道真公を祭った大宰府が学問の神様としてあまりにも有名です。
熊本は福岡と対抗意識の強いところといわれますが、まさかおちょくっているのではないでしょうね。

Posted by: 栄治 | 2009年08月01日 23:30

碧:

仙台味噌は長い伝統のあるものとは思っていましたが、政宗公が青葉城内に工場をつくってまで味噌作りを奨励したとは知りませんでした。
味噌は日本中どこに行っても土地のものがありますが、仙台味噌が贈答品として認められているのはやはり歴史と癖のない味のためなのでしょうか。
社長さんは新製品をいろいろと工夫されているようですから、お味噌汁だけでなくお料理にも新しいアイデアをたくさん出してくださるといいですね。

Posted by: 碧 | 2009年08月01日 13:53

A.A:

佐々重の九代目さんの写真と伊達政宗さんの絵を見比べると、なんだかとてもよく似ているような気がする。
味噌にかける情熱のせいなのか、仙台衆の伝統的な顔立ちとでもいうものなのか、ともかく面白いね。
味噌なんかどこのものを食べても同じようなものだと思っていたが、考えてみると関西の店で出す味噌汁は一般に甘くて薄味
だ。
やっぱり味噌には”土地柄の味”があるということかな。

Posted by: A.A | 2009年07月31日 18:18

秋人:

仙台味噌に8種類もの銘柄があるとは知りませんでした。
これを機会にいろいろ試してみましょう。
ホヤを味噌汁に入れるという発想は、まさに意外性の賜物というところでしょうか。
少しもったいないような気がするけど、チャレンジしてみますか。

Posted by: 秋人 | 2009年07月31日 17:09

菅原:

仙台味噌といえば塩分が強いという印象がありますが、甘口もあるんですね。
9代目社長さんはきっと現代感覚で経営改革をされているのでしょう。
バランスの取れた完全調味料としての新しい使いみちを、これから開発していって欲しいと思います。

Posted by: 菅原 | 2009年07月31日 15:45

nana:

熊本に味噌を祀った天神様があるなんて、本当にオドロキです。
味噌の本場は東北とばかり思っていました。
政宗公が青葉城内に味噌工場を作ったというのも初耳です。
太平の世にあっても戦時への備えを怠らなかった方なのですね。

Posted by: nana | 2009年07月30日 19:32

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